以前はまったく気にしていなかったのですが、このサイトを作り始めてから、記事や画像の著作権を気にして見るようになりました。このサイト上で使っている画像は著作権表示が不要な画像か、Creative Commons(クリエイティブコモンズ)で公開されている画像です。
それで気づいたのですが、オープンアクセスジャーナルが増えたこともあるのか、最近はオープンアクセスジャーナルを中心に学術雑誌でもCreative Commonsを使って公開されているものがあります。例えば、おそらく科学に関係ない人でも聞いたことがあるはずの雑誌「Nature(ネイチャー)」は商業誌で、内容や画像を使うにはロイヤリティーを支払わなくてはいけません。でも、Natureグループの中でもNatureの名前を冠したオープンアクセスジャーナルの「Nature Communications」はCreative Commonsで公開されているのです。
時代は変わったのだなあと思います。
Creative Commons
Creative Commonsはライセンス規約の版違いがいくつかありますが、基本的にはどの版でも同じ構造で、「ライセンスに書かれている要件を満たしている限り、著作権者へ連絡は不要で、無料で使っても良い」というのが基本です。
完全に何も制限がない状態がCC0(Creative Commons 0:ゼロ)で、ここに4つの条件が組み合わせられて、ライセンスが作られます。
公式サイト上に日本語の開設ページもあります。
BY:表示
人の立ち姿()のようなの画像とともに示される条件、BY(Attribution、日本語版では「表示」)は、何かの合理的な方法で著作権者の表示、ウェブサイトの場合にはリンクなどを表示すれば、「著作権者への連絡なしで無料で使用」できるというライセンスです。CC0以外のライセンスでは必ず、このBY(Attribution)が組み合わされています。
SA:継承
リフレッシュマーク()のような画像と一緒に表示される、SA(ShareALike、「継承」)は、再利用して公開した著作物を、同じライセンス(元がCC BY-SAならCC BY-SA)で公開すれば使用できるというライセンスです。
確実ではありませんが、参考にした著作物がCC BY-SAで公開されていて、別の著作権表示(別の著作権者)が書かれていた場合は実際に参考にした方を書けばよさそうな気がします。(スペースに問題がない場合には両方書いていることが多いですが)
ND:改変禁止
丸にイコールのマーク(=)で示されるND(NonDerivs、「改変禁止」)は、公開された著作物を改変することが禁止されていますが丸ごとそのままの形で表示すれば利用することができます。
ある意味で一番厳しいライセンスですが、画像の場合は、サイズの変更(とそれに伴う画質の低下)は改変とみなされないため可能です。
しかし、画像の切り出しや、ページから画像を取り出して利用することは禁止されています。ただし、日本の著作権法上の「引用」だったり、フェア・ユースが認めれれる場合には抜き出し可能です。(それでも、写真やイラストは「引用」に当たる可能性はかなり低いと思います)
NC:非営利
禁止マーク()とドル記号($)を組み合わせたマークで示されるNC(NonCommercial、非営利)はとても曖昧なライセンスです。
営利目的でなければ使うことができますが、営利目的の場合には著作権者から許可を得る必要があります。「営利」目的が何を指すのかは、著作権者によりますので決まっていません。
学術雑誌の場合
学術雑誌でもオープンアクセスジャーナルの広まりとともにCreative Commonsライセンスが増えているように思います。
オープンアクセスジャーナル
何度か出てきているオープンアクセスジャーナルというのは、「誰でも読める雑誌」という意味です。増えてきているということは、逆に言うとオープンアクセスではないものが主流だということで、オープンアクセスジャーナルではない雑誌は、
- 論文を読むのに一篇ごとに料金が掛かる
- 決められた期間に出版された雑誌を、一定期間読める契約をする
- (今時はなくなりましたが)インターネット上で読めず雑誌を買う必要がある
といった方法で出版された論文へのアクセスが制限されます。
超有名雑誌はどこの研究機関でも研究機関として読めるように契約していますが、時々契約内容に合意できずに雑誌が読めない大学が出てきてニュースに出たりします。比較的マイナーが雑誌は、大学ごとに契約している内容が違うので、日本にいたときに読めた日本の学会誌が読めなかったり、アメリカの大学では日本では読めなかった他国の学会誌にアクセスできたりということが多いです。
オープンアクセスジャーナルのメリットは明らかで、誰でもアクセスできることからアクセスされる数(=読まれる数)が多くなり、引用される回数が増えて、学術雑誌の持つ影響力が高くなります。
一方で、閲覧されても収入が増えないので、どことは言いませんが低品質なオープンアクセスジャーナルをあわせて運営して、掲載料(論文を執筆した人が雑誌に支払う掲載料)を高額に設定し、高品質な雑誌を運営するのに掛かる赤字を穴埋め、ということもあります。
Creative Commons
なんとなくですが、CC BYだったり、CC BY-NC-SAが多いような気がします。先に出したNature Communicationの場合は、CC BYなので画像を取り出してウェブサイトに載せることも出典を明記すれば無料でできます。
「ND:改変禁止」ライセンスはPDFにして全体をダウンロードできるようにするしか提供方法がなくなってしまうので、見たことがありません。