菜食主義者、ベジタリアンという人たちがいます。色々なタイプがありますが動物由来の食べ物を避ける人たちです。

アメリカ人やヨーロッパ人の中にはかなり多くのベジタリアンがいますがどちらかと言うと知識層に多い気がします。また、人口が多いインドは半数以上がベジタリアンと言われている上に、研究者や医者、技術者として海外へ出る人が多いので、日本へくる留学生や海外留学等で知り合う人の中には、必ず一人はベジタリアンがいると思います。僕の知り合いにも10人以上はベジタリアンがいて、半分以上はインド人です。

ベジタリアン(菜食主義者)の種類

ベジタリアンと一口に言っても色々な人がいます。どの程度動物性の食べ物を許容するかで分けられています。

  • ヴィーガン(Vegan)
  • ラクト・オボ・ベジタリアン(Lacto Ovo Vegetarian)
  • ラクト・ベジタリアン(Lacto Vegetarian)
  • オボ・ベジタリアン(Ovo Vegetarian)

ラクト(lacto)は乳製品(ウシやヤギなど)、オボ(ovo)は卵製品(ただし魚卵は除く)です。

植物以外の可食物による主なベジタリアンの表
名前動物肉・魚介類乳製品蜂蜜
ラクト・オボ・ベジタリアン ×
ラクト・ベジタリアン × ×
オボ・ベジタリアン × ×
ヴィーガン × × × ×

(表の出典:『ベジタリアニズム』ウィキペディア 最終更新 2015/10/4 10:30)

アメリカ、ヨーロッパのベジタリアンは個人の信条からベジタリアンに後天的になった人がほとんどです。多くは動物を屠殺して食用にすることに抵抗を覚えベジタリアンに転向した人ですので、食用以外で動物を殺すことも認めない人が多いです。

信条からベジタリアンになった人たちの中には、牛・豚などの哺乳類は食べない人、魚・鳥なら食べる人、など個人によってバリエーションが生まれますが、卵・乳製品・蜂蜜以外を食べる人は本当のベジタリアンではないということでシュード・ベジタリアン(Pseudo Vegitarian;偽の、かりそめの、菜食主義者)と呼ばれるようです。(前出ウィキペディアに解説されています。)

インドのベジタリアン

インドのようにベジタリアンが伝統として続いている地域ではベジタリアン人口が非常に多く、人口の半数以上~80%がベジタリアンと言われています。インドの人口は12億人もいますので、世界のベジタリアン人口のほとんどはインド人ということになります。

インド人の友人が「ベジタリアンは乳製品は摂るものだ」「ヴィーガンのインド人は聞いたことがない」と言っていたので、ラクト・オボ・ベジタリアンかラクト・ベジタリアンが多いのではないかと思います。

インドのヒンドゥー教徒はベジタリアンでなくても牛肉は食べません。ヒンドゥー教徒以外でもシーク教徒(頭にターバンを巻いた「インド人」のステレオタイプはシーク教徒です)は牛肉を食べませんが、イスラム教徒やキリスト教徒は牛肉を食べます。

大多数のヒンドゥー教徒にとっては、ウシは神の使い(神の乗り物)で神聖視されていますので、イスラム教徒やキリスト教徒が牛肉を食べることに対して反発があり、最近も多くの事件が起こっています。(参考:インドの牛肉ブームめぐり緊張高まる-ヒンズー教徒が反対』Bloomburg 2015/3、インド「牛肉殺人」の波紋:政治家の消極対応で「宗教対立再燃」の懸念も』Huffingtonpost 2015/10)

インドのベジタリアンは、基本的に肉も魚も食べません。が、中には

  • インド国外では肉食も大丈夫
  • インドの牛以外は神の使いではない

として肉食を試してみる人がいます。そういう人に会ったことはありますが少数で、多くの人は何が入っているか分からないインド以外の食べ物を避ける傾向が強いように思います。

ベジタリアンの中には、ベジタリアン家系の夫と結婚してからベジタリアンになった人もいますが、ほとんどは肉を食べたことがありません

肉の味を知らないので、一度、鶏肉ジャーキー(燻製)を渡して食べさせていたのを見ました。「これ美味しいよ。どう?肉じゃないよ」と言って。黙っているか少し迷ったのですが、それが鶏から作られていてベジタリアン用の食べ物ではないと伝えたら、青ざめて吐き出してトイレへ走っていきました。食べてもその場では気づかないかも知れませんが、後で知ったら怨まれるので避けましょう。一人はしばらくして研究室を離れたので、その二人のその後の関係は知りません。

日本の菜食

日本のベジタリアン食といえば、精進料理です。

精進料理

精進料理は仏教の戒律に沿うように発達してきた料理で、日本だけではなく日本と同じ大乗仏教の影響が大きい中国、朝鮮半島、ベトナムにそれぞれの形で発達したようです。

修行中の禅僧が食べる食事というイメージですがベジタリアンに食べてもらう食事としては、和食っぽさもしっかりある上に魚も肉も使っていない(はず)なので安心です。

海外からの外国人観光客や日本に滞在する外国人の中にはヴィーガンやベジタリアンも多いが、精進料理は日本では高価な料理であることが多いこと、一般の日本料理では肉や魚が使用されていないように見えても、出汁に動物性材料を使っていることがあることなどから、ベジタリアン向けの、より気軽に低価格で毎日楽しめる精進料理も生まれてきている。しかしこれらは、精進料理という名前こそ付いてはいるが仏教的な意味は薄れてしまっている。
また近年ではアメリカを中心にグルテンの摂取を控えるブームがあり、それに対応して麸を使わないなど、グルテンフリーを謳った精進料理も見られる。
出典:『精進料理』ウィキペディア 最終更新 2015/7/31 15:34)

伝統的和食は菜食?

日本ベジタリアン協会や、ベジタリアンの人のブログなどを読むと、

  • 過去にはには何度も肉食が禁止された
  • 日本の食事は伝統的にベジタリアンで、明治以降に肉食文化が入ってきた
  • 江戸時代以前の食事は、時々魚を食べる以外はまさにベジタリアンだった

というようなことが書いてあります。肉の消費量が明治時代以降に増えたのは間違いないと思いますが、江戸時代までがベジタリアンだったかというと疑わしい気がしてなりません。

和食には「ダシ」が必要ですが、ダシといえば

  1. かつお節(魚)
  2. 昆布
  3. にぼし(魚)
  4. あご(魚)
  5. 干し椎茸

が代表です。煮干をダシに使うようになったのは室町時代のようで、昆布をダシとして使っていたのは北海道と東北くらいだったようです。また、椎茸は当時まだ栽培技術もなく広く食べられていなかったはずなので、ほとんどの地域ではダシといえば魚だったのではと思います。

特にインド人用の和食

精進料理を除いてほとんどの日本食は、かつおだしが使われています。ベジタリアンに出すには向きません。また、インド人ベジタリアンは昆布も食べないのでかなり大変です。見た目で区別はつきませんし、僕の舌・鼻では分かりません。判らなければいいんじゃないかと言う人もいるかもしれませんが、それは良心が咎めるのでできません。

知らなかったのですが、インド人の場合味噌・醤油などの発酵食品も食べられない場合があるそうです・・・・。お手上げですね。

和食の場合は、仮に野菜中心だとしても、出し汁にカツオやコンブを使います。カツオなど海の魚は食べない人が多く、海草もダメな場合が多いです。ヒンズー教では川は神聖で、海を忌み嫌うからというのがその理由です。
また、みそやしょうゆなど発酵ものもダメな場合が多いです。この時点で和食をインド人が食べるというのは非常に難しいことがおわかりいただけると思います。
接待メニューで、ほとんどのインド人がクリアできるであろう具体的な和食メニューとして、あえて一点挙げるなら「野菜の天ぷらに塩をつけて食べる」などはアリでしょう。ただ、天ぷらと一緒に出される大根おろしは最も厳格なベジタリアンの場合はNGになってしまいます。かなり少数派ではありますが、ニンジンや大根など根菜類も食べないベジタリアンもいます。
結論を言ってしまえば、日本人はどうしても和食などでおもてなししたくなりますが、総じて敬遠したほうがいいかもしれません。
出典:『インド人にとって日本の食生活はとてつもないストレス--日本企業が日本国内でインド人を雇用する場合の注意点』(東洋経済オンライン)

なぜ大根おろしを食べられないのか判りませんが、野菜天ぷらしかないというのは痛いです。

今まで会ったインド人は、海草は食べない人が多かったですが、味噌・醤油は食べていました。卵を食べるかどうかは半々です。発酵食品が大丈夫なら、少し選択肢がありますね。

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