テキサス州ヒューストン在住の3歳児が2型糖尿病を発症したというニュースがありました。

見逃しているだけかもしれませんが英語のニュースには続きがあって、「治った」(と言っていいのか微妙ですが)そうです。

3歳女児が2型糖尿病発症のニュース

3歳児が2型糖尿病を発症したというニュースを見たとき、「まさか日本で?」と思ったのですがやはりアメリカでした…

2型糖尿病は、生活習慣病と呼ばれる病気の一つで、糖尿病・高血圧・高脂血症と3つまとめて「成人病」と少し前まで呼ばれていた病気の一つです。

【9月17日 AFP】体重35キロの女児(3)が、生活習慣に深く関連しているとされる2型糖尿病と診断された事例が17日、欧州糖尿病学会(European Association for the Study of Diabetes、EASD)の年次総会で発表された。女児は、成人に多く見られる2型糖尿病の患者としては世界最年少の一人だという。
 著しい体重の増加や多尿、喉の渇きといった典型的な糖尿病の症状がみられたため、女児は米テキサス(Texas)州の小児科病院を受診。幼少期に診断されることが多い、1型糖尿病やその他疾病は陰性だったが、成人により多く見られる2型糖尿病と診断された。
 2型糖尿病の要因は、運動不足や過体重など生活習慣に深く関わっているとされる。出生体重は3.2キロと標準的だったが、受診した際の女児の体重は、同年齢の幼児の平均体重の約2倍、11歳児の平均体重とほぼ同じだったという。
出典:『3歳女児、生活習慣に起因の2型糖尿病と診断 学会』(AFPBB)

糖尿病

糖尿病は、世界で3億8200万人(2013年)の患者数がいるとされている疾患です。(by 世界糖尿病連合)

ありふれた病気ではありますが、糖尿病を患うとジワジワと体を蝕んでいきます。本人が気づかないところでゆっくりと進行し、ある日突然強い自覚症状とともに顕在化するということが多いです。

早く診断されたほうが最終的には健康を保てますから、怪しいなと自分で思ったら検査を受けたほうが良いです。典型的な自覚症状は、「体重増加・減少、口の渇き、多尿」です。

糖尿病の診断基準

糖尿病と診断されるのは、

  • 空腹時血糖126mg/dL以上
  • 随時血糖値200mg/dL以上
  • HbA1c 6.1%以上(国際標準値で6.5%以上)

のいずれかを満たしたときで、一つだけが満たされた場合には再検査されたりしますが、大抵は一回調べれば見つかる気がします。日本では健康保険制度のせいで初回にはHbA1cを検査できない場合も多いですので、HbA1cを測定して陽性だったときには既に確定診断が付いているときだと思います。

受診する医院・病院や専門科によって保険診療が認められるかどうか違いますので、初診で検査することも多いと思います。(検査したものの認められなかった場合、医療機関の赤字になります。)(参考:『日本の医療制度』)

空腹時血糖というのは、大抵朝食事を抜いてきて測定するもので、8~12時間糖分を取っていない状態で測定した血糖値です。随時血糖というのは、食前・食後問わずいつでもその値を超えた場合に判断されます。2時間OGTTといって75gのブドウ糖(すぐに吸収される糖分)を摂取して2時間後に採血するという方法もありますが、これは糖尿病かどうかギリギリの場合などに行われます。

糖尿病の原因

糖尿病は、何かの原因で血糖値が上がってしまった状態です。血糖値は、正常の状態では食事や飢餓状態によって上下するものの一定範囲内に収まるように調整されています。

血糖値の調整を行っているのがインスリンというホルモンで、胃の裏側にある「すい臓」で作られて全身に作用します。糖尿病が発症するときには、インスリンが出なくなる、もしくはインスリンが上手く働けなくなっています。

すい臓のインスリンを作っている場所が自己免疫によって(大抵は急激に)障害を受けてインスリンが作れなくなるものが1型糖尿病で、インスリンの効きが悪くなった(インスリン抵抗性)り、インスリン抵抗性の結果もたらされた高血糖によってすい臓に徐々に障害が起こった(糖毒性)場合に起こってくるのが2型糖尿病です。

一般的に1型糖尿病のほうが急激に発症するため、急性症状が出て発症していても何年も気づかないのは2型糖尿病です。

1型糖尿病と2型糖尿病

以前は、若年発症=1型、中年発症=2型というステレオタイプがあり、

  • 1型糖尿病の40歳→もう糖尿病歴が長いのかな
  • 糖尿病の25歳→1型糖尿病なのかな

というようなイメージが付きまといましたが、日本でも20年くらい前から2型糖尿病を20歳代で発症する人が増えてきていて40歳前に心筋梗塞を起こして透析寸前、ほぼ失明状態という人も出てきています。

3歳で糖尿病を発症した女児

ニュースになっていた3歳の女児は、3歳にして体重が35kgあったということです。日本語のニュースでは、「3歳が発症した」という学会報告だけだったように見えたのですが、英語で調べてみたら、すでに少なくとも半年以上は経過していたようです。

The girl was given a liquid form of metformin, an anti-diabetic medication, and the parents were told to follow a strict calorie counted diet. The child was is also encouraged to do physical activity. Within six months, she was able to lose weight, maintain normal blood sugar levels and eventually weaned off the treatment. Moreover, if she continues doing consistent physical activity and eating healthy, there is hope that the T2D in the child is stopped for good. "Reversal of type 2 diabetes in children is possible by early screening of obese children, early diagnosis, appropriate therapy and lifestyle modification." Yafi said.
出典:『Obese Three-Year Old Diagnosed with Type 2 Diabetes: Is Treatment Possible?』(TechTimes)

メトホルミン(日本での製品名はメトグルコ、メルビン、グリコランなど)の内服液による治療とカロリー制限、運動を続けて6ヶ月で、体重は減り治療薬なしでも血糖値は正常に戻ったそうです。

日本人を含むアジア人は白人と比べてインスリン抵抗性だけではなくインスリン分泌が障害される傾向が強いとされています。インスリン分泌の障害は基本的には回復しないはずですから、日本人だったら回復できたかはわかりません。(発症してすぐだったら治るかもしれません・・・)

この女児は他の記事によるとヒスパニック系と書かれていました。ヒスパニックというのは主にスペイン系ラテンアメリカ人(場合によってはスペイン・ポルトガル)のことで、人種としては白人が多いものの黒人やアメリカ先住民も含まれます。

イギリスの記事では、

In the UK only 2% of children with diabetes have type 2 and the youngest patients on record are aged between five and nine.
Most children are instead diagnosed with type 1, a condition unrelated to lifestyle - where the immune system mistakenly attacks cells responsible for blood sugar control.
But type 2 diabetes is increasing across the world, fuelled in part by a rising tide of obesity.
出典:『'Youngest' toddler with type 2 diabetes raises concern』(BBC)

と、子供の糖尿病患者の98%は1型糖尿病ではあるものの、肥満の増加とともに世界的に増えつつあると書かれていました。

食生活

3歳で糖尿病を発症した女児がどんな食生活をしていたのか分かりませんが、ジャンクフードを子供に与えるのは良くないなと、改めて思いました。

本当に関係があるかどうかは分かりませんが、糖尿病の発症にトランス脂肪酸の摂取も関係しているかもしれません。

2008年に開催された「人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合」の暫定報告書(2010)では、「トランス脂肪酸に関するWHOの最新の科学的知見」に基づいて、水素添加油脂由来のC18:1(炭素数が18で炭素-炭素二重結合が一つ)のトランス脂肪酸について、「虚血性心疾患(CHD)の危険因子や虚血性心疾患の発症を増やす、これまで考えられていたよりも確実な証拠がある」、「メタボリックシンドローム関連因子及び糖尿病のリスクに加えて、致死性CHDや心臓性突然死のリスクを増やす、ほぼ確実な証拠がある」として、トランス脂肪酸の摂取量を反すう動物由来のものと工業由来のものを合わせて総エネルギー摂取量の1%未満とする目標値を設定しました。
出典:『トランス脂肪酸の摂取と健康への影響』(農林水産省ホームページより)下線は管理人による改変です

アメリカでは2018年までにトランス脂肪酸を多く含む水素添加油の使用が禁止されます。(参考:『FDAがトランス脂肪酸排除を決定、2018年6月までに』)

僕も以前は全く気にしていなかったのですが、最近は食品を買うたびに必ずラベルをチェックしてpartially hydrogenized oil(部分的水素添加油)やshortning(ショートニング)と書かれているものは買わないようにしています。

日本では、このような表示はされていません。代わりに「植物性油脂」と書かれているモノは含まれていそうです。(植物性油脂ではなく、パーム油やココナッツオイル、ピーナッツオイルなどの表示は大抵植物名が書かれているため)

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