アメリカの医療制度は日本とは大きく異なります。違うということは有名なのですが、どう違うのかイマイチ分からなかったのでインターネット上の情報などを見ながら考えました。長くなりすぎるので、このページでは日本の制度を振り返ります。アメリカの制度との比較は記事『日米の医療制度の違い』へどうぞ。

日本の国民皆保険制度

日本は「国民皆保険制度」です。「持っていない人がいる!」だから国民皆保険ではないのだ、という批判もありますが、少なくとも国民の大多数は健康保険に加入しています。アメリカのように、10%以上が保険未加入ということはありません。(オバマケアで少しは変わったはずです。)

健康保険の種類

日本の健康保険制度にはいくつかの種類があります。

  1. 被用者保険:(会社で)働いている人が入る保険です。保険料は組合によって違います。
  2. 国民健康保険:自営業や無職の人、会社が被用者保険に加入していない場合に入る保険です。保険料は自治体によって違います。
  3. 後期高齢者医療:75歳以上の人が移行する保険です。
  4. 生活保護

国民健康保険と後期高齢者医療制度の保険料は、ざっと収入の1割程度になることが多そうです。地域と収入によって大きく変わりますが、低所得者の保険料も所得に応じて下がったり減免されます。高所得者の場合には、組合によって決められている上限金額(年間100万円以下)になります。ネット上に詳しいページがありますので、より知りたい方はそちらへどうぞ。(参考:国民健康保険計算機』『後期高齢者医療制度ガイド』など)

一方、被用者保険は会社が保険料を一部負担することが多く、それよりも優遇された保険料が設定されています。被用者保険は、働いている人=働ける人=働けない人よりは健康な人が多いために国民健康保険よりも保険の支払いが少なく、収支が安定しているようです。

後期高齢者医療制度を除くと、専業主婦や子供、退職後の親などの扶養者も同じ保険に加入できます。

医療費の支払い元内訳

日本の健康保険では、現在原則的な本人負担は3割なのですが、実際の医療費内訳をみるとだいぶ異なります。

日本の国民医療費(制度区別、平成24年度)
公費負担医療 2兆8836億円(7.4%)
後期高齢者医療 12兆6209億円 (32.2%)
健保組合 3兆3066億円 (8.4%)
船員保険 193億円 (0.0%)
共済組合 1兆497億円 (2.7%)
国民健康保険 9兆5331億円 (24.3%)
その他労災など 3016億円 (0.8%)
患者等負担 4兆9296億円 (12.6%)
軽減特例措置 1949億円 (0.5%)
総額 39兆2117億円

(出典:『国民健康保険』ウィキペディア 最終更新 2015/5/25 01:46より改変)

少し古いデータですが、患者負担は全医療費の12.6%です。生活保護や難病の特定疾患医療、感染症の公費負担(参考『日本の感染症対策—感染症予防法』)、養育育成医療費、精神医療費などの公費医療負担を除いても、約13.5%にしか過ぎません。ただ、この総額に全額自己負担である一般医薬品や、保険外診療(レーザー脱毛などの美容系、レーシックなど)、事故の治療費、出産費用(特にトラブルがない場合の出産費用は自費です)が含まれているのか不明です。

「自己負担3割」との大きな違いを生んでいるのは、「高額療養費制度」といわれる給付制度によるところが大きいと思います。

高額療養費制度

厚生労働省のウェブサイトにある説明が分かりやすいので引用すると、

医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院中の食事代と差額ベッド代を除く)が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。(出典:厚生労働省ウェブサイトより改変)

この一定額というのは世帯年収によって決まっていて、年収がたとえば370万円世帯では世帯の医療費が月に80100円を超えると残りが支給されます。さらに、年に3回以上該当する場合には44400円を越える部分が高額療養費制度によって支払われます。(実際の計算はだいぶ複雑です。)

万一入院した場合には、家族や保護者の方に案内があることが多いはずですが、念のために。申請しておけば、現物支給が可能です。逆に、申請していない場合には、還付があるまでの間は一時的に全額を負担しておかなくてはいけません。特に、手術をしたり集中治療室に入ったりという高額医療を受けるときには、医療費の問題が家族の方の不安をあおる場合がありますので、心の片隅においておきましょう。

大抵、病院に担当部署(医療相談室とかそんな名前)があって、教えてくれるのですが、手違いなどで案内されなかった場合には、そこへ自分で相談しにいかなくてはいけません。

先進医療

日本の保険制度の基本は、上記のようなシステムになっているのですが、2004年から新設された先進医療というシステムがあります。これは、健康保険に正式に組み込まれる前の「先進的」な医療を全額自費ではなくて、健康保険も使いつつ自己負担でやろうというものです。

それまでは、健康保険で認められる前の薬剤や治療法を受けたい場合には、「全額自費」、さらにその後関連した医療費も「全額自費」(原則)という非常にハードルが高いものでした。この制度によって、お金のある人しか受けられない医療が拡充してしまってきているのは事実だとは思いますが、新しい医療は非常に高額であることが多いので、(崩壊しつつあるとはいわれますが)健康保険の破綻を避けるための苦肉の策だと思います。

民間医療保険

日本ではアメリカのように保険会社が力を握っているわけではありませんが、民間の「医療保険」もしっかりあります。「健康保険」でカバーされない部分を補償するものになっていますので、日本のように健康保険制度がしっかりしている国では、役割は相対的に小さいです。

主な役割としては、

  1. 差額ベッド代
  2. 先進医療

を補償することになります。ガンと診断されたときの一時金なども入ったプランがありますが、あればなんとなく安心感はありますが、ないと絶対的に困るというほどのものではありません。日本の医療費は基本的には先払いではなく後払いですし、上記の高額療養費制度を事前に利用しておけば、後払いで非常に高い請求が来ることはありません。(差額ベッド代、先進医療費用、保険外診療を除く)

そんなに要らないと理性的には思うのですが、こんなことを書いている僕もいくつか加入しています。

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