(アメリカの)ベジタリアン用ホットドッグの1割に肉が混入しているようだ、というニュースがCNN.comに出ていました。読むほどに、科学的には真実とは思いがたいデータが示されていて、中にはヒト由来の成分(遺伝子)が入っていたホットドッグもあるとか。

データとしては事実かも知れませんが、問題は多そうです。

(注:記事の写真は、ユダヤ教戒律に従って豚肉フリーのKosherスタンドです。)

ベジタリアン・ホットドッグの10%に肉が混入!?

CNN.comで見かけたニュースは、

According to a study from Clear Labs, a food analytics startup, 10% of vegetarian hot dog products contain meat.
Perhaps worse, the company found hygiene issues in four of its 21 vegetarian samples. It also found human DNA in 2% of its hot dog samples.
出典:『Report: 10% of vegetarian hot dogs contain meat』(CNN.com)

と書いていました。

見出しの通り、肉を使っていないはずのベジタリアン用ホットドッグの10%で肉を検出した、というのと、全体の2%でヒトのDNAを検出したというニュースです。

懐疑的な意見

前出のCNN記事には、

Nevertheless, Martin Wiedmann, a Cornell University professor and expert on food safety, said Clear's results lacked significance.
"This is telling us nothing new about hot dogs," he said. "It's a sensationalist marketing ploy by companies designed to sell their services."
He observed that genetic sequencing may indicate something notable -- or not. Clear's techniques are proprietary, so for outside experts, the company's results raise questions.
出典:前出CNN.com記事

という意見が載っていますし、他のウェブサイトにはもう少し多くの反対意見が出ていました。(参考:Human DNA found in hot dogs... 10% of veggie dogs made with meat... but private genomics lab censors brand names to appease food industry』Natural News)

  • 問題だという割には、どこの会社のものに混入を見つけたのか書いていない(これは、日本でも良くあることです)
  • 遺伝子組み換え食品について検査を意図的にしていない。別の種類の肉が検出されることと安全かどうかは別問題なのに、消費者を誤誘導する結果だ

というような趣旨です。Clear Labsはクラウド・ファンディングのキックスターターで出資を募っているところだそうです。

 研究方法と結果

僕は個人的にはコーネル大学教授やNaturel Newsの記事の意見に賛同します。Clear Labsのウェブサイトには数字が出ています。

75の食料品店で購入した345個のホットドッグを検査して、ベジタリアン製品の10%に鶏肉・豚肉を検出し、全体の2%にあたる6個にヒトDNAを検出(そのうち2つが肉製品、4つがベジタリアン製品)したと示されてますが、実験方法はCNN記事にあるとおり公開されていません。

感度が高い(少量でも見つけやすい)PCR法で検出しようとしたのだと思いますが、感度が高すぎて判断が難しくなりやすい方法です。僕のいる研究室でも、「高純度の純水なのにヒトのDNAが出る!」と大騒ぎした結果、あきらめた仲間がいます。実験手順かPCR用試薬、実験器具のどこかに問題があったのだと思いますが、それを判断するには実験方法の詳細が必要です。

ホットドッグ自体には問題なくても、パック後のホットドッグを配送、陳列するときに素手で触ったり、前でしゃべって唾液が飛んだりすればパッケージに付着しますので、よほど上手く取り出さないとある程度誤検出すると思います。(日本のパッケージのよりもずっと取り出しにくいです)

データが出たということは事実だと思いますが、だからといってデータから主張していることを丸ごと信じられないという例ですね。

食物アレルギーと絡めて

日本の食べ物に最近よく書かれている注意書きで、「原材料に小麦は使っていませんが、製造上混入することがあります」というものがあります。

これは、製造ラインを一製品だけで占有できない場合に(ほとんどがそうだと思いますが)書かれているもので、清掃したとしても微量のアレルゲンが残ってしまい、アレルギーを起こすことがあるという意味でどうしても避けられません。一番気をつけないといけないのは、蕎麦屋やうどん屋で、設備を共有しているので蕎麦にはうどんの成分が、うどんには蕎麦の成分が、どうしても混ざってしまいます。(最近は、たいてい文章で警告している店が多いです)

10%の混入の多くも同じような原理で起こったのだと思いますが、検出されたこと自体は事実でしょう。他の記事に、豚肉を避けたい人はKosher(ユダヤ教系食料品店、ユダヤ教では豚肉が禁忌なので混入していることはまずない)で買いましょうと書かれていました。

日本では食物アレルギーが社会問題になっていますが、アメリカでも小麦グルテンで起こるセリアック病患者が増えていて問題になっていますので、今のところ注意書きを見ることはあまりないのですが、今後増えていくかもしれません。

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