2015年10月になり、マイナンバーの発行が始まります。マイナンバーは、かつて国民総背番号として導入を検討されていたものの名前をわかりにくく和製英語にしたものです。アメリカでいうソーシャルセキュリティナンバーです。
NHKの籾井会長が「マイナンバーをNHK料金徴収に検討したい」と発言したり、その他イロイロな「活用」が目論まれていて空恐ろしいです。
マイナンバー
マイナンバーは、日本に在住すると発行される番号で基本的には生涯変わりません。外国籍でも日本に住民票があれば発行されますが、日本国籍でも海外在住の場合は発行されません。
マイナンバー制度が始まりそう、困ったと思っていましたが紐付けが義務付けられる可能性があるのは2021年以降のようですので当面放っておこうと思います。
不着などトラブルが予想
日本に住んでいても1~2割程度の人に通知カードが届かない見込みということもあります。一時帰国して住民票を一時的に入れれば発行される筈ですが、住民税や国民健康保険、年金など面倒なことが増えるので避けておこうともいます。
現状のマイナンバー取り扱い
2015年9月3日にマイナンバー法改訂が成立しました。当初法では、
- 徴税
- 社会保障
- 災害
の3つの目的に限定されていましたが、この改正で2018年から銀行口座との連結が可能にし、2021年からは銀行口座との連結を義務付けたいらしいです。また、マイナンバーの不正利用に罰則が設けられたようです。
海外在住者
海外に住んでいる場合、マイナンバーは発行されません。2018年以降も海外に居続ける場合にどう取り扱われるのかが知りたいですが、今問い合わせても確実な答えはもらえない気がします。
マイナンバーなしでは電子申告ができないのでは、と思いますが、海外在住でも日本に納税する場合は考慮していないはずがないと思いますので、何とかなると楽観しています。銀行口座の利息は源泉徴収ですし問題は少なそうです。
証券会社
今のところ証券会社に対しては銀行口座のような紐付け義務化はありませんが、将来的に義務化されそうだという観測のようです。
ネット専業の楽天証券ではマイナンバーに関して方針が出されており、
- 2016年1月以降に口座を開設する場合には、マイナンバーを告知する
- 2018年末までには口座のマイナンバーを告知する
必要があると出ています。現状で特定口座以外の場合、証券会社が国に報告する必要があるのか僕にはわかりません。
銀行
源泉聴取分の徴税業務もある銀行では、今のところあまり告知がなさそうです。三菱東京UFJ銀行の場合、個人に関してはまだ特に何もなさそうで、マイナンバーを扱う業務をする人たちに向けての情報が出ているだけです。
当面は「任意」なので、マイナンバーの告知を求められても「安易には応じない」ことだ。そして、近い将来、義務化されることを視野に入れて万が一、情報漏えいが起こった場合でも被害が最小限になるよう、マイナンバーの対象とならない資産への振替も検討しておくとよい。
出典:『マイナンバーで預金紐付け? 法改正のポイントとは』(ZUU online)
という意見もありました。しっかり勉強しておかないと後で泣きを見ることになりそうな気がします。
NHK籾井勝人会長「マイナンバー活用」発言
現状では徴税と社会保障、近未来に銀行口座との紐付けが決められているだけなのですが、NHKの籾井勝人会長が、マイナンバーをNHKの契約率改善に活用すると発言されています。
「税金かよ…」NHK会長の“受信料徴収にマイナンバー活用を検討”発言に反発の声が続出 http://t.co/oi9zdCb9aS pic.twitter.com/38G6RtfL5D
— ニュースサイト IRORIO (@IRORIO_JP) October 2, 2015
数日前に自民党の委員会でマイナンバー利用も考慮に入れた利用料利用料の徴収を検討しよう、という提言が出されているので、その提言との関連で出てきた発言だと思います。
放送法の改正に関する小委員会
NHKの受信料の支払いが将来、義務化される可能性が出てきた。自民党の「放送法の改正に関する小委員会」(佐藤勉小委員長)が2015年9月末に受信料の支払い義務化を求める提言書をまとめたからだ。
提言書は総務省とNHKに対するもので、総務省には、ドイツやイギリスなど海外の公共放送の受信料制度を参考にしつつ、具体的な制度設計やマイナンバーを使っての徴収方法を検討するよう求めた。一方、NHKには、義務化でどの程度の受信料値下げが可能になるかの試算を求めた。
出典:『再び動き出したNHK受信料の義務化 既に自民が値下げ幅の試算も求める』(J-Castニュース)
NHK会長の発言
1日の定例記者会見で、受信料の支払率向上に向けて「積極的にマイナンバーの活用を検討したい」と述べた。
マイナンバーの活用は、自民党の放送法の改正に関する小委員会が9月24日、受信料の支払い義務化とともに、NHKと総務省に対して検討を提言した。籾井会長は、支払い義務化の是非については明言を避けたが、不払い者に罰則を科すことは「ない方がいい。罰則を付けても(世帯を)捕捉できない限りは無理だ」と述べ、マイナンバーへの強い関心を示した。
出典:『NHK:マイナンバーを受信料徴収に活用検討…会長会見』(毎日新聞ニュース)
マイナンバーで徴収・・
マイナンバーはただの番号ですから、それ自体では徴収に使えませんので、紐付いた銀行口座を差し押さえたり、「NHK未払い」の情報をナンバーに保存したり、するのでしょうか。何も今のところ出されていませんが、きっとある程度決まりつつあるのでしょう。空恐ろしいです。
マイナンバーの漏洩は?
マイナンバーに関しては、管理するのは自分ではありませんので漏洩に関しての自衛の手段があまりありません。前述ZUU Onlineの記事にあるように、漏洩に備えておくくらいしかないような気がします。
そもそも、マイナンバーが漏洩した場合に起こりうる痛いシナリオとしては、
- 年金機構の情報漏えいのように、マイナンバーと紐付け情報が漏洩する
- 銀行口座、証券口座、保険口座の情報がわかる
- 特定情報がわかる
- 成りすましの身分証明書が発行される
- 全財産を奪われる
- 仮想通過を経由して雲散霧消
ということが考えられますが、これは現状でも起こりえますし、現実少数(だと思います)ですが起こっていることです。問題は、年金機構で実際起こったようにお役所でのセキュリティ意識が低すぎるために漏洩が起こりそうで、実態把握までの初動が遅そうであること、情報が一元化していることで危険がいっそう増すこと、だと思います。
そう思うと、手遅れになる前に分散しておくくらいしかありませんが、それ以前にネットバンクを使うときにできる対策をしておかないとと思います。