2015年4月末に、メリーランド州ボルチモアで大きな暴動がありました。日本のニュースでも放火された車や建物の映像が何度かは流れたかもしれません。5月初旬には2015年に入ってからの殺人件数が82件と2014年の62件よりも20件増えていると報じられました。

その後、5月、7月と月間の殺人件数が統計がある1972年以来最悪を記録しました。ボルチモア市警察だけでは対応しきれなくなったのか、FBIに協力を要請しました。異例のことだそうです。

メリーランド州ボルチモア

メリーランド州のボルチモアは、1812年から1814年までの米英戦争(第二次独立戦争)の激戦地で、この戦いを見た詩人がアメリカ国歌「星条旗」を作ったそうです。

「星条旗」歌詞なし

「星条旗」2013年オバマ大統領就任式 by Beyonce

星条旗といわれてもどんな曲だったのかさっぱり思い出せませんが、なぜか聞きなれたメロディーです。アメリカの国歌だといわれたら、そういえばアメリカの式典で流れているような気がする、程度ですね。他国の国歌なんてそんなものかもしれません。

どちらかというと、先日チャールストンの教会襲撃事件の葬儀でオバマ大統領が歌っていたAmazing grace!のほうがよく耳にします。(参考記事:『白人男性が黒人教会を襲撃、チャールストン』)

 

ボルチモアでの暴動

2015年4月にボルチモアでは大きな暴動があり夜間の外出禁止令が発令される事態になりました。詳細は過去の記事に書いています(記事『メリーランド州ボルチモアで暴動』、『ボルチモア暴動の原因になった逮捕の顛末』)が、

  • 黒人青年のFreddie Grayさんが警官に取り押さえられて護送されている間に死亡
  • ぐったりとしているGrayさんが連行されていく様子がビデオ撮影されていて流れた
  • 死因は頭部外傷で、病院へ連れて行くのが遅かったことがわかった
  • Grayさんの葬儀で集まった人から暴動に発展
  • 警察官6人が殺人罪で逮捕、起訴された

とここ数年来、アメリカで繰り返されている警察の過剰な行為の一つです。以前からあったに違いないと思うのですが、個人が手軽に録音・録画できるようになったために露見しやすくなったのではと思います。ノースチャールストンであった警官が背後から黒人男性を射殺していた映像(記事『チャールストン郊外で警官による黒人射殺事件、2015年4月』)も通行人がスマートフォンで撮影したものでした。

IT化の波を感じずにはいられません。

 

ボルチモアの治安

ボルチモアはもともと治安が悪い町として知られていて、全米・全世界治安が悪い都市ランキングの常連です。

この10数年の間に治安はかなり改善し、最近の年間殺人認知件数は200~230件くらいです。人口は60万人強と日本の中規模都市なみですので、改善したとはいえ日本とは比べ物になりません。(日本では、2014年は全国で年間357件です。)

2015年の治安悪化

それが、2015年は5月初旬時点で82件(2014年比+20件)と著しく増加する傾向がありました。(暴動があったのは4月末でしたので、5月初旬の殺人件数増加には半分くらいしか関係しないはずです)

暴動後の5月には1972年以来最悪となる、月間42件を記録し、7月にはそれをさらに塗り替える月間45件でした。

Violence is not uncommon in Baltimore. The city of more than 600,000 "has always had a very high homicide rate for many years," city council member Carl Stokes told CNN.
But 2015 has been anything but ordinary.
The city has seemingly been in a perpetual state of turmoil ever since the events surrounding the death of Freddie Gray, the 25-year-old man who died while in police custody in April.
The demonstrations that followed devolved into riots, plunging the city into a violent, chaotic powder keg that proved overwhelming for the local police department.
出典:『Feds answer Baltimore's SOS on violence』(CNN.com)

既に2015年8月に入った時点で190件以上の殺人が起こっており、暴動のあと暴力が触発されたようだと書かれています。でも、暴動が起こる以前に既に殺人件数増加(+20—32%以上)が起こっていますので、(現場にいたわけではないので分かりませんが)どちらかというとそれ以前から悪化していて警察も過剰反応しがちになっていて住民の不満が溜まっていたたところで事件が発覚して、暴動の引き金を引いたのではと思います。

暴動の後、件数が一気に増加しているのは間違いないので、暴動で触発されたのは間違いなさそうです。

 

FBIに協力要請

記録的な暴力犯罪の増加に対応しきれなくなったのか、ボルチモア市がFBIに協力要請をしていたようです。これに応じて、FBIから各種の専門家合計10名が派遣されることが決まりました。

Ten federal agents from the Federal Bureau of Investigation; Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives; U.S. Drug Enforcement Administration; the U.S. Secret Service and the U.S. Marshals Service will embed with the police department's homicide unit for the next 60 days, city leaders announced Monday.
出典:前出CNN記事

これがかなり異例の事態のようです。同記事によると、通常もFBIと地元警察が協力して事件に対処することはあるものの、基本的にはFBIの捜査に地元警察が駆りだされることが多く、逆は異例のことだそうで、さらに個別の事件での協力ではなくて、期間を決めて(今回は60日)協力して検挙率を上げようという取り組みが新しいそうです。

 

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