今年に入ってから繰り返しニュースで目にする「ギリシャの財政問題」。債務期限延長を経てついに2015年6月30日、延長もできず借り替えの目途もない返済期限を迎えます。期限ぎりぎりの6月27日になって、ギリシャのアレクシス・チプラス首相が国民投票を行うことを提唱し、7月5日に実施されることが議会で決まりました。6月28日に翌日29日から銀行預金の引き出し制限、銀行の一時閉鎖といった資本規制の導入が発表されました。

ECB・IMFとの交渉

欧州中央銀行(ECB)や国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)が主な債権者(資金を貸している側)で、返済期限を迎えても返済出来ない資金をさらに追い貸しするかどうかの交渉をしています。

未来永劫に無条件で追い貸しすることはないので、いつか返済し終えるための財政再建計画をギリシャとの間で合意するために、長い間交渉しています。

債権者側が求めているのは、

<ギリシャ改革案、定年引き上げや富裕層増税盛り込む>
ギリシャが提示した新たな財政再建策には、定年を段階的に67歳に引き上げることや、法人と富裕層への増税などが盛り込まれた。しかし、債権団が当初要求していた年金・賃金の引き下げは内容になく、また電気料金の付加価値税引き上げや、労働者保護法の緩和も回避した。
出典:『ユーロ圏首脳はギリシャ改革案を評価、週内合意目指す』(ロイター)2015年 06月 23日 10:11 JST

にあるような、

  • 増税
  • 年金引き下げ
  • 定年引上げ(=年金削減?)
  • 賃金引下げ

などギリシャ国民が喜びはしない再建策です。

 

アレクシス・チプラス首相の誕生

2015年1月25日の選挙で、ギリシャにこれまでの合意を覆すことを公約に掲げたアレクシス・チプラス首相が就任しました。

ギリシャがEUなどに対して抱える債務の大半を棒引きにすること、利払いの猶予、緊縮政策によって大きな皺寄せを受けた公務員らの待遇改善などを公約として、有権者の強い支持を得た。
 実際チプラス政権は、1月28日に公務員たちに朗報をもたらした。同政権は、今後公務員の解雇を行わない方針を明らかにしたほか、債務危機の発覚後に解雇された数千人の公務員を復職させる。さらに債務危機の発覚前に公務員に保証されていた月751ユーロ(約10万円)の最低賃金も復活する。
出典:『ギリシャの政権交代で再び強まる、ユーロ圏の不透明感』(日経ビジネスOnline)

 これではECB、IMFなどの債権団との交渉が上手く行くわけもなく、非難合戦をしたり、第二次世界大戦を持ち出したり、しながら半年近く交渉が続いていました。

 

国民投票実施の決定

新しいつなぎ融資が6月30日に必要になりますが、期限ぎりぎりの6月26日夜にギリシャは交渉団を引き揚げたようです。

The trigger for the rapid escalation in the crisis was the Greek government's decision late Friday to pull its negotiators out of bailout talks.
Prime Minister Alexis Tsipras slammed a draft proposal from Europe and the International Monetary Fund, and said he would put it to the Greek people in a referendum on July 5.
出典:『Greece shuts banks in bid to prevent collapse』(CNN.com)

そして、6月27日にチプラス首相が国民投票実施を呼びかけ、議会で国民投票の実施が決まりました。国民投票の実施日は2015年7月5日で、その時点で融資が受けられていなければ、すでに債務不履行(デフォルト)になっているのですが・・・。

交渉団の引き揚げ自体は、以前からIMFもやっていた手法です。

Friday's drop follows the IMF's move to pull its negotiators out of the talks in Brussels and send them back to Washington D.C., saying there had been no progress and that major differences remained in key issues.
出典:『IMF pulls out of Greek bailout talks, sending shares lower』(the State-Journal Register)

それまでの繋ぎ融資を引き出すためだったのかもしれませんが、(29日時点では)追加融資は行われないようです。

国民投票の内容

交渉されていた案の有効期限は6月30日だと債権団側が言っていたので、一体なにを国民投票にかけるのかと思うのですが、

現時点での債権団の再建案の是非

のようですが確証がありません。ギリシャ語が読めたら探せると思うのですが、英語では良いものが見つかりません。

Financial Timesというウェブサイトにもこんなことも書いてありました。

1週間で準備できるのか?ということと、ツイートには出ていませんが、1億ユーロは掛かるようだということ、もう一点は何に対しての国民投票なのかわからないという3点で、国民投票でどうなりそうかというようなことが記事になっています。

国民投票の「結果」予測

国民投票が行われたとして(すぐに)どうなりそうかという予想がロイター『ギリシャ国民投票実施で、予想される政局シナリオ』に出ていました。

 

期限後の影響

日本のニュースに出ている懸念とほとんど同じですが、ギリシャがデフォルトしたらどのような影響が出そうか、ということを(アメリカ在住なので)アメリカのCNNを見てみました。目に付くのはこの二つの記事です。

一つ目の記事では、「who would really care?」と始めて「大問題だ」とつながるのかと思ったら、そんなことはなく「そんなに影響がない」という趣旨のようでした。著者はイギリスのEuropean Institute, London School of Economicsの研究者だそうです。理由は、今までに色々準備してきたことと、ギリシャが閉じた市場で貿易が少ないということを挙げていました。

二つ目の記事では、準備してきているけれどリーマンショックのときのようなことが起こらないかという不安やギリシャがロシアに近づくのではないかという懸念が書いてありました。ロシアの天然ガスパイプラインをギリシャに引く交渉をしているようです。この点は、一つ目の記事には、「ロシアにそんな金はない」という趣旨の反論が出ていました。

いずれの記事でも、ギリシャ自体とギリシャ国民には大きな影響があるだろうという点では一致しています。

 

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